
受付時間 9時〜17時050-7125-0958


私が過去に勤めていた会社では、年次有給休暇の申請簿に取得日を記載し、
「上司2人の承認のため押印をもらう」をという手続きを行っていました。
就業規則には、『年次有給休暇を取得するときは、休暇簿に日付を記載し総務部へ届出ること』と記載されていましたが、実態的には上司の「承認」が必要でした。
そこで・・・年次有給休暇取得に承認って必要なの?!
承認は、不要です。
年次有給休暇の規定は労働基準法39条に書かれています。
労働基準法39条
➀~④は省略
⑤ 使用者は、有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。
まず、「請求」とは、年休を取得する時季(日にち)を「指定」するという意味です。
労働者が年休の取得を請求し会社側が「承認」することにより年休権が発生するという意味ではありません。
年次有給休暇の「請求」とは、どういうこと?と、
解釈した有名な最高裁の判例があります。
白石営林署事件(最判昭和48年3月2日)
■事案
労働者が会社に対して、年次有給休暇を「請求」し、年次有給休暇を取得したところ、「不承認」とされ欠勤扱いにされたため、差引かれた賃金の支払を求めた事案。

■最高裁の判断をまとめると
・年次有給休暇の権利は、法定要件を満たすと当然に発生する
・会社は、その権利を妨げてはならないし、時季変更権を行使しない限り年次有給休暇が成立する
・会社の「承認」という概念は入る余地なし!
年次有給休暇の要件が充足されたときは、労働者は法律上当然に所定日数の年次有給休暇の権利を取得し、使用者はこれを与える義務を負うのであるが、この年次休暇権を具体的に行使するにあたつては、まず労働者において休暇の時季を「請求」すべく、これに対し使用者は、事業の正常な運営を妨げる場合が存する場合には、これを他の時季に変更させることができる。
「請求」という語を用いているけれども、年次有給休暇の権利は、要件が充足されることによつて法律上当然に労働者に生ずる権利であつて、労働者の請求をまつて始めて生ずるものではなく、また、「請求」とは、休暇の時季の「指定」にほかならないものと解すべきである。
休暇の付与義務者たる使用者に要求されるのは、労働者がその権利として有する有給休暇を享受することを妨げてはならないという不作為を基本的内容とする義務にほかならない。
労働者がその有する休暇日数の範囲内で、具体的な休暇の始期と終期を特定して右の時季指定をしたときは、時季変更権の行使をしないかぎり、年次有給休暇が成立し、当該労働日における就労義務が消滅するものと解するのが相当である。すなわち、これを端的にいえば、休暇の時季指定の効果は、使用者の適法な時季変更権の行使を解除条件として発生するのであつて、年次休暇の成立要件として、労働者による「休暇の請求」や、これに対する使用者の「承認」の観念を容れる余地はないものといわなければならない。
この判決以後、労働基準監督署では、労働者が年次有給休暇を取るときは会社の「承認不要」という周知がなされています。
・年次有給休暇は、法定要件を満たせば当然に権利が発生します。
・会社の承認はいりません。
・手続き上、会社の押印等が必要なときは労働者の年次有給休暇の権利行使を妨げないようにしましょう。
・権利行使の妨害がひどい場合は、ハラスメント等の違法行為となってしまう恐れがあります。